JA愛知厚生連 稲沢厚生病院JA愛知厚生連 稲沢厚生病院

JA愛知厚生連 稲沢厚生病院

DEPARTMENT診療科・部門

整形外科

特徴

骨折、外傷治療のほか、脊椎・脊髄疾患、関節疾患の治療など整形外科的疾患全般の治療を行っています。骨折手術に加えて、人工関節置換術、脊椎・脊髄疾患にも取り組んでおります。
専門外来としてはリウマチ外来、脊椎外来、骨粗鬆症外来を行っています。
また、総合リハビリテーションとして、個別のプログラムによる運動機能の回復、維持を目指しています。

対象疾患(代表的な疾患)

大腿骨頚部・転子部骨折(だいたいこつけいぶ・てんしぶこっせつ)

足の付け根部分(股関節)の骨折で、骨が弱くなった(骨粗鬆症)高齢者が転倒した際に起こしやすいです。年間10数万人が受傷するといわれており、寝たきりの原因になりやすいため、ほとんどの人が手術の対象となります。
骨折の原因は、つまずきや階段の踏み外しなどの転倒によるものがほとんどですが、必ずしも大きなけがをしなくても骨折を起こすことがあります。これは、骨粗鬆症によって骨がもろくなってしまうからです。

症状
  • 足の付け根が痛む、太もも(大腿部)が腫れる
  • 歩行困難
診断

まずはレントゲン写真をとりますが、レントゲンのみでは分かりにくい骨折もありますので、必要に応じてCTやMRI検査などを行います。

治療

大腿骨頚部骨折は、骨折部での転位(骨のずれ)が少なければ、骨を金属などの器具で固定し、折れた部分をくっつける「骨接合術」を行います。
転位が大きい時には、骨接合術を行っても偽関節(骨がくっつかない)や骨頭壊死(血流障害で骨がつぶれてしまう)可能性があり、頚部から骨頭までを切除して、そこを人工物で置き換える「人工骨頭挿入術」を行います。
転位が大きくなってしまうと、より侵襲の大きな手術となってしまいますので、股関節の痛みがある場合は、なるべく早く病院に受診してください。
大腿骨転子部骨折では多くの場合、骨接合術が行われます。術後早期よりリハビリテーションを開始し、運動機能の回復を目指します。
転倒される高齢者の方は、認知症状を伴っていることがありますが、当院は精神科も併設しており、認知症患者さんの治療も可能です。まずは急性期病棟で治療を行いますが、高齢者の場合はリハビリに時間を要すことが多いので、亜急性期病棟(地域包括ケア病棟)を利用して入院リハビリを継続しておりますので、他院に転院することなく引き続き当院での治療が可能です。

脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)

骨が弱くなってくると(骨粗鬆症)、室内でしりもちをついたなど比較的軽度な外傷でも、背骨がつぶれてしまうことがあります。時には、布団を持ち上げた時にも生じることがありますし、知らない間につぶれてしまうこともあります(いつの間にか骨折)。
いつの間にか骨折は骨粗鬆症によることが多いのですが、時に悪性腫瘍が背骨に転位して起きることもありますので注意が必要です。

症状
  • 背中や腰の痛み
診断

まずはレントゲン写真をとりますが、レントゲンのみでは分かりにくい骨折もありますので、必要に応じてCTやMRI検査などを行います。

治療

コルセットを使用して治療を行います。痛みが強くて、自宅生活が困難な場合には、入院して頂き、リハビリを行うこともあります。
圧迫骨折は多くの方は、コルセットによる治療で骨が癒合しますが、時に、偽関節(骨が癒合しないこと)や遅発性の麻痺(下肢の筋力低下・しびれ、排尿障害)などが出現することがあり、注意を要します。

橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)

転んで手をついたときに、手首のところで橈骨(とうこつと読みます※手首の親指側の骨です)が骨折した状態です。
骨が弱くなった(骨粗鬆症)高齢者に起きることが多いのですが、交通事故、高所からの落下など外力が大きいと若い人でも起きることがありますし、小児でも起きることがあります。

診断

まずはレントゲン写真をとりますが、レントゲンのみでは分かりにくい骨折もありますので、必要に応じてCTやMRI検査などを行います。

治療

まずは、徒手整復(手を引っ張り、ずれた骨をもとにもどす)を行い、ギプス固定を行います。
徒手整復のみでは十分な整復位(骨が良い位置に戻る)が得られない場合は、痛みが出やすくなったり、動きが悪くなってしまうことがありますので、患者さんとも相談しながら手術的な治療を行うことがあります。
成人の場合には、プレート固定(金属の板とネジで固定)することが多く、小児の場合には、自家矯正力(成長とともに自然と骨が良い位置に戻る)の範囲内を超えて転位(骨のずれ)が残っていれば、鋼線を皮膚を通して骨に挿入する(経皮的鋼線刺入術)を行うことがあります。

その他骨折

骨折は多岐にわたり、すべては記載が難しいのですが、当科で入院加療している代表的な骨折について、上記に記載しております。 整形外科疾患については、日本整形外科学会ホームページの「症状・病気をしらべる」に詳しく記載されていますのでご覧ください。

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)

骨の強度が低下して、もろくなり骨折しやすくなる病気です。女性では、閉経に伴って女性ホルモンであるエストロゲンの減少とともに骨粗鬆症を発症します。加齢、運動不足などが原因も考えられます。
特に症状を自覚しないこともありますが、転倒したときに大腿骨頚部・転子部骨折脊椎圧迫骨折橈骨遠位端骨折などを起こしやすくなります。

症状
  • 以前より身長が低くなった
  • 背中や腰が曲がってきた
検査
  • 骨量測定
  • 骨代謝マーカー
  • 単純エックス線写真
治療

主に、薬物治療が中心に行われます。骨吸収を少なくする薬、骨形成を助ける薬、痛みを取り除く薬など様々な治療薬を用います。

変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)

関節の構成成分である軟骨がすり減ってしまい、関節の形態が著しく変形してしまう病気です。

症状
  • 関節周囲の痛み、腫れ、引っ掛かり、違和感がある
検査
  • 単純エックス線写真
  • CT・MRI検査
治療

現時点では、軟骨摩耗の防止に効果的な治療法はなく、関節周囲の筋力維持、肥満の改善など防止に役立ちます。
痛み止めの内服や外用剤(湿布、塗り薬)による治療を行いますが、痛みが続く場合には、関節内注射(ヒアルロン酸やステロイド)を行うこともあります。
内服や外用剤で十分に治療を行っても、痛みが強く、日常生活に不自由がある場合には、関節を人工の関節にする手術(人工関節置換術)を行うこともあります。当科では人工股関節置換術、人工膝関節置換術を施行しております。

腰痛症(ようつうしょう)

その名のとおり腰が痛くなる病気ですが、ある特例の症状を指すわけではなく、腰痛を引き起こす様々な疾患の総称です。
腰には「腰椎」と呼ばれるブロックのように積み上げられた背骨が構成されており、腰痛はこの「腰椎に」負担がかかったり、障害が起きることで発症がみられます。
その原因疾患として、『腰椎椎間板ヘルニア』、『変形性腰椎症』、『腰部脊柱管狭窄症』などがあります。

検査
  • 単純エックス線写真
  • CT・MRI検査
治療

薬物療法や、神経や神経の周辺に局所麻酔を注射して痛みを和らげる神経根ブロック療法やリハビリなど、それぞれの症状や原因によって適切な治療の組み合わせを選択します。

整形外科疾患は多岐にわたり、すべては記載が難しいのですが、当科で入院加療している代表的な疾患について、上記に記載しております。整形外科疾患については、日本整形外科学会ホームページの「症状・病気をしらべる」に詳しく記載されていますのでご覧下さい。

関節リウマチ

免疫の異常により、関節が炎症を起こし、関節の痛みや腫れが出現し、軟骨や骨が破壊され、関節の機能が損なわれ、放っておくと関節が変形してしまう病気です。
原因ははっきりとは分かっておりませんが、関節の変形には関節内の滑膜の増殖が関係しております。
滑膜でサイトカイン(TNFα、IL-1、IL-6などの炎症をおこす物質)などが産生され炎症を起こします。

症状
  • 関節が痛んだり、熱をもって腫れたりする
  • 関節の曲げ伸ばしが難しい
検査

関節リウマチの患者さんでは、リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体が、陽性となることが多く、血液検査を行います。炎症反応であるCRPや赤沈(ESR)も測定いたします。
リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体が陽性であっても、必ずしも関節リウマチを発症しているとは限りませんので、その場合には、将来的に関節リウマチを発症する可能性もありますので、経過観察を行います。
また、逆にリウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体が陰性である関節リウマチ患者さん(血性反応陰性関節リウマチ)もおられますので、関節の腫脹などを含めて総合的に診断を行う必要があります。
レントゲン撮影を行い、関節リウマチの所見の有無を確認したり、発症初期にはレントゲン撮影では所見がない時期もありますので、MRI検査を行ったりします。
関節リウマチは膠原病の1つに含まれ、関節リウマチ以外の膠原病を合併することもありますので、抗核抗体(ANA)なども測定いたします。
関節リウマチ以外の膠原病を疑う場合には、膠原病内科に紹介を行っております(現状、当院には膠原病内科がありませんので他院に紹介しております)。

治療

以前は、関節リウマチの関節変形は、徐々に進行すると考えられておりましたが、治療を行わないと発症2年以内にレントゲン上、多くの患者さんで関節リウマチ所見を認め、関節変形を残してしまうことが分かってきており、早期からの治療の開始が必要となります。治療には薬物療法として、まずは抗リウマチ薬(関節リウマチの免疫異常を改善する薬)が行われます。抗リウマチ薬のみでは十分な治療効果が得られない場合には、生物学的製剤という注射薬を使用することもあります。
現在の治療の目標は、国際的に将来の関節の損傷を防ぐためにTreat to Target(T2T)という提案が行われております。T2Tについては日本リウマチ財団のホームページに詳しく記載されております。
関節の変形、破壊が進行し、日常生活に不自由が強い場合には、人工関節置換術を行うことがあります。当科では人工股関節、人工膝関節置換術を行っております。

特殊外来

  • リウマチ外来
  • 脊椎外来
  • 骨粗鬆症外来

それぞれの専門外来を受診希望の方は、まずは整形外科一般外来を受診ください。

医師紹介

副院長 加藤哲司
整形外科部長 山岸逸郎
加藤 哲司 副院長兼地域医療福祉連携部長兼
整形外科部長
日本専門医機構認定整形外科専門医/日本整形外科学会脊椎脊髄病医/リウマチ学会専門医/日本リハビリテーション医学会認定医/臨床研修指導医
山岸 逸郎 リハビリテーション科部長 日本整形外科学会専門医/臨床研修指導医

整形外科で手術を受けられる患者さんへ

日本整形外科学会症例レジストリー(JOANR)に関するお知らせ

このたび稲沢厚生病院 整形外科では、運動器の病気で入院・通院されていた患者さんの診療情報を用いた研究を実施しております。
この研究を実施することによる患者さんへの新たな負担は一切ありません。また、患者さんのプライバシーの保護については法令等を遵守して研究を行います。
あなたの試料・情報について、本研究への利用を望まれない場合には、担当医師にご連絡ください。

日本整形外科学会症例レジストリー(JOANR)構築に関する研究について

  1. 1.研究の目的 及び 意義

    この研究の目的は、運動器疾患の手術に関する大規模データベースを作り上げることです。整形外科が扱う運動器疾患は、小児から高齢者まで幅広い方々を悩ませ、多くの方の健康寿命を損なう大きな原因となっています。その治療である手術の件数も年々増加していますが、その全国規模の全容を捉えられるデータベースが まだありません。全国の整形外科で情報を共有できるシステムを作り上げることは、有効な治療法や手術の安全性を科学的に確立するために大変有用です。日本整形外科学会が作りあげるこの大規模データベースに参加・協力し、より良い治療を探って参ります。


  2. 2.研究の方法

    1. 1) 研究対象者

      2020年4月~2030年3月の間に稲沢厚生病院整形外科において、運動器の手術を受けられた方を対象とします。人工関節手術、関節鏡視下手術、脊椎手術、骨折治療の手術などが対象となります。


    2. 2) 研究実施期間

      本研究の実施許可日 ~ 10年間(当院では、実施許可日より西暦2030年3月31日まで)


    3. 3) 研究方法

      インターネット上のデータベースへ登録します。


    4. 4) 使用する試料・情報

      • 研究に使用する試料
      •  無し


      • 研究に使用する情報
      • 匿名化したID、年齢、性別、ハッシュ値(氏名、性別、生年月日などから算出される文字列)、疾患情報、手術情報、手術・麻酔時間、手術日、術者情報、看護師数、技師数、治療成績、使用した器材・インプラント など。情報を提供して下さった患者さん個人が特定できないよう、これらの情報は完全に匿名化されてデータセンターへ提出されます。
        調査項目の詳細は、JOANRのホームページ の「情報公開項目」をご覧ください。


    5. 5) 試料・情報の保存

      登録されたデータはデータセンター(日本整形外科学会)の責任下に保存されます。保存期間は本研究終了(あるいは中止)後5年間とします。



    6. 6) 研究計画書の開示

      研究に関する情報(研究計画書等)を 日本整形外科学会ホームページ および JOANRホームページ に公開します。



    7. 7) 研究成果の取扱い

      ご参加頂いた患者さんの個人情報がわからないようにした上で、診療報酬改訂に向けた実態調査などの政策対応、専門医制度のための症例データベース、医療機器の安全性向上に資するデータベース構築、また学術論文などの公表に日本整形外科学会員又は関連学会員が用います。



    8. 8) 問い合わせ・連絡先

      この研究についてご質問等ございましたら、下記の連絡先までお問い合わせ下さい。また、あなたの試料・情報が研究に使用されることについてご了承いただけない場合には研究対象とはしませんので、下記にお申し出ください。資料・情報の使用を断られても患者さんに不利益が生じることはありません。なお、研究参加拒否の申出が、既に解析を開始又は結果公表等の後となり、当該措置を講じることが困難な場合もございます。その際には、十分にご説明させていただきます。


      稲沢厚生病院 整形外科
      連絡先(電話番号) 0587-97-2131(平日:9時~17時)



    9. 9) 外部への試料・情報の提供

      • 保存された情報等は他の医学研究への利用を目的に提供されることがあります。その際にはデータの提供の可否について日本整形外科学会は倫理委員会の意見を聞き、そこで適切と判断された場合に限ります。
      • 情報を他の営利団体、民間の機関(規制機関など)に提供する場合があります。登録した医療材料に有害事象や不具合が起き、医学的・人道的な観点からその情報を製造販売企業や審査機関に提供すべきと判断される場合です。
        いずれも提供されるデータは、データセンターに登録・保管されている情報で、研究に参加して下さった患者さんの個人を特定できる情報は含まれていません。

    10. 10) 研究組織

      稲沢厚生病院 整形外科
      〒495-8531 稲沢市祖父江町本甲拾町野7


      公益社団法人 日本整形外科学会
      理事 種市 洋 (症例レジストリ ー委員会担当)
      〒113-8418 東京都文京区本郷2-40-8
      Tel. 03-3816-3671 Fax. 03-3818-2337


      稲沢厚生病院 整形外科
      2020年3月1日作成