JA愛知厚生連 稲沢厚生病院JA愛知厚生連 稲沢厚生病院

JA愛知厚生連 稲沢厚生病院

KOSEI COLUMNコウセイコラム

大腸憩室と病気

 

大腸内視鏡検査を行うと、よく遭遇するのが「大腸憩室」です。

 

憩室とは消化管の一部が壁外に突出した状態のことです。それが大腸にできるので、大腸憩室といいます。

日本人の1~2割に大腸憩室はみられますが、80歳以上になると約半数に認められます。

 

大腸憩室は、食物繊維の摂取量が低下することで発生しやすいともいわれています。

 

大腸憩室があっても、7割の方は無症状で一生を終えますが、残りの3割の方で問題となるのが、

「大腸憩室出血」と「大腸憩室炎」です。

 

「大腸憩室出血」は、その名の通り、憩室から出血するという病気です。

 

7、8割の方は自然止血します。大腸憩室は多発していることが多いので、内視鏡で原因の憩室を特定するのは容易ではなく、出血源がわからないまま治るということが多いです。

腹痛のない血便があれば憩室出血の可能性があります。

 

「大腸憩室炎」は、憩室で炎症が起きる病気です。

 

症状としては、腹痛・発熱をともなうことが多く、CTでわかることが多いです。抗生剤治療で改善することが多いですが、中には外科的手術が必要になることもあります。

 

心臓疾患などで血が固まりにくくなる薬を服用されている方や高齢の方は、大腸憩室になるリスクが高いといわれます。

 

食物繊維の摂取を心がけ、便秘にならないように気をつけて、大腸憩室ができにくい体質にしましょう。

 

消化器内科部長 濱野 真吾