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KOSEI COLUMNコウセイコラム

創は洗おう

 

日本では昔から創(きず)を濡らしてはいけないという考え方や、傷口には消毒を塗るものだという固定観念があります。

 

2000年くらいから、創に消毒液を塗るのは、傷創の治りをむしろ遅らせるという考え方が広まってきました。

 

手術や処置をする前に正常皮膚を消毒し感染を防ぐという使い方は正しいのですが、怪我をした後、消毒を傷口に塗っても、それが中まで浸透し奥の細菌を退治することは期待できません。

 

 

傷口は消毒するよりも、水で洗って清潔にしておく方が治りが早く、苦痛が少ないと考えます。

 

当然、水道水のように清潔な水であることは必要です。

 

もし怪我をした場合、吹き出すような出血があれば圧迫し病院に来ていただいた方が良いのですが、しみ出し出血程度なら、まず創をしっかり洗って、砂などの異物を可及的に除去する方がきれいになります。

 

縫合した創や縫合できない擦り傷なども、毎日きれいに洗って滲出液などを除去した後に余分な水分を拭き取り、必要に応じ絆創膏やガーゼ等で保護を行うこと、創部が汚れたらその都度処置をし、きれいな状態を保つことが大切です。もし感染があれば、抗生物質を使う必要が出てきます。

 

創の状態によっても対応が変わることがありますのでご心配があればご相談ください。

 

外科部長兼手術センター長 髙山 宗之